2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

人はなぜ死ぬのか、絶望、祈り

自分が、いままさに死にゆかんとしていることを知らないままに死んでいく人間などいないと、ぼくは思う。そうでなければ、人間が死ぬ必要などどこにもないではないか。人間は、そのことを思い知るために、死んでいくのだ。有吉の死後、ぼくが読書すら放擲し…

ショアー、カタルシス、語りえぬもの

なかなか見分けられませんが、ここでしたね。そう、ここですよ、人を焼いたのは。大勢の人がここで焼かれました。そう、まさにこの場所です。いったん、ここへ来たが最後、だれも生きては出られませんでした。ガス・トラックが到着したのは、ここ……。大きな…

ダイオキシン、合理性、教育の力

私たちはなぜ環境問題に怯えるのでしょうか。それは具体的に資源が枯渇し、環境が悪化し、そして二一世紀には大量の餓死者が予想されるということでしょう。しかし、より根元的には環境破壊は私たち自体がつくったものだからだと考えられます。同じ恐怖でも…

canとmustとwill、自分探し、欲望を欲望

自分の脳の「好み」を知ってそれを上手に活用することが「生き方探し」の勉強法の究極のコツになります。ところが、「生き方探し」に迷っている人や失敗する人は、たいてい「自分の脳」の「好み」ではなく「他人の脳」の「好み」を自分の脳の好みだと錯覚し…

逆接、deep blue、虚なるもの

世界で、神性のシンボルとして、たとえばエジプトでは、スカラベや蛇を、また、牛や鳥など、動物や卍や十字などを神の遣いとする風習は多い。それらは、あるものであり、偶像である。しかし、その偶像そのものが神ではない。ある「もの」に意味を代表させて…

そこに山があるから、大志を抱け、水に痕無し

マロリー(一八八六〜一九二四)は、イギリスの第一回チョモランマ(エベレスト)遠征(一九二一年)以来、チョモランマ登山につづけて参加してきたが、第三回の遠征(一九二四年)で第六キャンプを出発したまま行方不明になった。彼が第二回の遠征(一九二…

せみのぬけ殻、捨てられるはしご、せつなさとともに

うすい白っぽい緑色の羽は、空気にあたると、すぐにうす茶色に変化していった。余りにこまかいことは、私は忘れてしまったが、その美しさと生まれて来る瞬間が、表現しがたいほどの素晴らしさであったことだけは、よく覚えている。そして立派に脱皮した大き…

竹島、想像力、午前八時一五分

午前八時一五分は 毎朝やってくる『石垣りん詩集』「挨拶」より 竹島周辺の海洋調査をめぐって日韓の緊張が高まっていた問題は、外務事務次官協議を経て、両国がそれぞれ妥協するかたちで一応の決着を見ました。協議が合意にこぎつけたとき、掲示板2ちゃんね…

『ダ・ヴィンチ・コード』、黄金比、オウムガイの殻

幸い、最近、単に複雑な形、でたらめな形といわれてきた自然界の非定形の形に、ある秩序があり、それが黄金比とも密接な関係があることが明らかとなり、改めて、自然の形のもつ美しさを再認識したのである。ここで私たちはアートやデザインなどの造形活動ば…

入試のアイドル、n音、妹の死

「約束したんや。嘘ついてもうたんや。エビスくんのこと神さまや言うてもうて、今日、お見舞いに連れていくから言うてもうて、アホやねん、ぼくアホやから、ゆうこに、なんでもええさかい楽しいこと考えといてほしかったんや。そうせんと、ゆうこ、死んでま…

変わること、盲点、雪しずり

知識というものは、実は自分を変えるものなのである。たとえばガンの告知を受け、自分がガンであるということを知れば、知った瞬間に咲いている桜が違って見える。それは桜が違うのではなく、知ることによって自分が変わるからである。養老孟司『異見あり―脳…