フルスピードでのろのろと、年速1kmの言葉、カタツムリの速度で

かたつむりの速度は時速何メートルでしょう? 今日は、ガンジーの「善(よ)きことはカタツムリの速度で動く」という言葉をヒントに、言葉や文化の伝播速度をかたつむりと比較することで、この世界をフルスピードでのろのろと進む「善きもの」について考えま…

「完全食品」はあるか、人間の不安と願い、おまじないの力

それさえ食べていれば生きていける食品、「完全食品」というものはあるんでしょうか? 今日は「完全食品」を探求する中で、結局何食ってもいいんじゃね? という話、そして人間の心の力について考えます。 殻の強い、黄味の色のいい卵を生ませる工夫はいろい…

流れ寄る椰子の実一つ、漂着する神様、「不具」は「福」なり

島崎藤村の「椰子の実」は有名です。日本にはどんな漂着物が流れ着き、それらはどのように受け入れてきたのでしょうか。今日は、ソトの世界からやってくるものが私たちを豊かにしてくれる可能性について考えます。 椰子(やし)の実 島崎藤村名も知らぬ遠き…

あなたに価値はありますか?、人間の不完全性定理、振り向かないこと

「若者は若さの価値に気づいていない」とはよく言われるところです。しかし、それはいったいなぜなんでしょうか? 今日は、人間が自分の価値に気づくことが、はたして可能なのかについて考えます。 新しい刃 安西均むすこが たどたどしい手つきで新しいカミ…

1=0.9999999999…、はじめに言葉ありき、世界を拡げるただ一つの道

「1=0.9999999999…」という式が納得できない、という人は多いようです。今日は、この式の難しさの本質はどこにあるのか? そして、この式に人が感じる納得のいかなさは、いったいどこから生じてくるのかについて考えます。 世の中にはあたりまえだと思ってい…

日本人の語彙量は減っているか、語彙推定テスト、ハリネズミのハリ

言葉の量、語彙力の低下がつとにささやかれていますが、実際のところ、日本人の語彙量はどうなっているのでしょうか。今日は、ネットの資料をもとに語彙量について、とりとめなく考えます。 語彙が多いとか少ないとかいうけれど、人間はどのくらいの言葉を使…

洞ヶ峠・桶狭間山・本能寺、事実と物語の座標軸、歴史をつくる

桶狭間は本当は山だった!? 戦国時代の有名エピソードには、「洞ヶ峠の順慶」や「敵は本能寺にあり」など、つくり話がけっこうあります。今日は、歴史というものに相対するとき、我々はどんな態度をとるべきなのかを考えます。 「じつは私は、順慶のことを…

鑑賞は創造である、フィンセント・ファン・ゴッホ、植えられる

芸術というものの「価値」はどこにあるのでしょうか。作品それ自体に「価値」があるのだとしたら、ゴッホが生前あれほど苦しまなければならなかったのはなぜでしょうか。今日は、鑑賞という行為を切り口に、芸術とは何かについて考えます。 ゴッホの絵は、彼…

強い人間原理、究極の質問と究極の答え、だから生きてください

宇宙はなぜこんなに美しいのでしょうか。宇宙はどうして存在しているのでしょうか。そして、私たちはなぜ、ここにこうして存在しているのでしょうか。今日は、強い人間原理を濫用して、これらの疑問について考えます。 あしの葉の上にいるかえるは、いぜんと…

しっかり死んでください、空っぽの指示語、光の言葉

大江健三郎さんの長男、大江光さんは、おばあちゃんに「しっかり死んでください」と言ったそうです。この不思議な言葉は、いったいどんな意味をもつのでしょう。今日は、「しっかり」の語源を妄想することで、この言葉の放つ光について考えます。 もうずいぶ…

シュレーディンガーの縄文杉、3つの力学、構造が色めく瞬間

縄文杉を見にくる観光客によって縄文杉は傷つけられます。しかし、それでも縄文杉を見たいのだとしたら……。今日は、我々が世界を抽象化した理論として理解するとき、本当の人間性がその理論と理論の間隙に現れることについて考えます。 「縄文杉を見に行く奴…

みどりの守り神、雲は行き水は流れる、めぐる惑星

人類が絶滅したあと、街はどうなると思いますか? 自然に「還る」のでしょうか? それとも、自然に「破壊される」のでしょうか? 今日は、日本と西欧の自然観を比較し、「自然」という言葉の意味の変遷を見ることで、ヒトのいない世界の姿について考えます。…

視線の力の物語、(・・)、真実を見抜く目

宇治拾遺物語に、にらみつけることで物の怪の変身を暴く話が出てきます。また、世界には邪視信仰が多くあります。一方で、視線のもつポジティブなパワーも注目されています。今日は、「視線の力」についてのネタをぶちまけ、らちもなく考えます。 昔、延喜の…

どの辺からが天であるか、無限と空間、道はつながっている

「青い空」とは言えるのに、「青い天」と言えないのは、なぜでしょう。「天気」と「空気」の意味の違いはどこから来るのでしょう。今日は、「天」と「空」の意味の違いと、高見順の詩を検証することで、神秘へと至る道について考えます。 どの辺からが天であ…

また逢ひ申すべし、3歳の押しかけ女房、生まれ変わられ

生まれ変わり、輪廻転生という言葉はだれでも聞いたことがあるでしょう。今日は、いくつかの生まれ変わりの具体的を例を見ることで、生まれ変わりという行為の見方を反転させます。 神田明神前よりお茶の水へ出るところに船宿ありしが、文化三年六歳になりし…

無限級数を追う、人生常に道半ば、禍福糾える縄の如くあれ

なんだか、毎日、同じことをくり返している。うまくいくときもあるけど、同じぐらい失敗もある。実はそういう感覚は、人生で何ごとかをなす、必要・十分条件なのかもしれません。今日は、高村光太郎「刃物を研ぐ人」の「無限級数」という言葉を導火線に、生…

蛙飛び込む水の音、コンパイラコンパイラ、世界を拓く力

「古池や蛙飛び込む水の音」は、なぜ革新的な俳句なのでしょうか。芸術作品の価値とは、どこにあるのでしょうか。今日は、解釈という行為を、計算機におけるプログラム解釈ソフト「コンパイラ」を比喩としてとらえることで、教育が真に目指すべきものを考え…

大理石の中の女神、二念をつがない、見るともなく全体を見る

夏目漱石『夢十夜』の「第六夜」に、運慶は、仁王像をつくっているのではなく、眉や鼻が木の中に埋まっているのを掘り出しているだけだ、という有名な言葉が登場します。今日は、のぼせあがった我々の脳を冷ましてくれる、この言葉の力について考えます。 「…

はてブ注目記事と逆接、夜の大逆接、逆接は論理的ではない

「しかし」「だが」など逆接の接続詞は、論理的な文章に多く出現するとされます。では、はてなの一般記事と比べて「注目記事」では、逆接が出現する確率は変化するのでしょうか? 今日は、はてなにおける逆接の出現率を実際に数え、その意外に結果についてと…

あぶないテントウムシ、蒲公英・向日葵・玉蜀黍、緑はあきらめた

生きものの世界は色彩であふれています。なぜ動物たちはカラフルに着飾るのか、植物名のついた色名はどのぐらいあるのか、植物が緑色であることの謎など、今日は自然界の色彩にまつわるネタのあれこれについて考えます。 そこで真夏の日中になると、多くの昆…

アベェロンの野生児、学校という装置、「人になる」「ヒトである」

「アベェロンの野生児」が人間に戻ることを許されないのはなぜか。「狼少女」アマラとカマラというつくり話が消えないのはなぜか。今日は、野生児たちをめぐる人々の心の動きを考えることにより、近代という時代が生みだした私たちの隠れた願望について考え…

すべてのクレタ島人は嘘つきか、「痛くなッ」、見えないフレーム

「すべてのクレタ島人は嘘つきだ、と或るクレタ島人が言った」という文章は自己矛盾文としてよく知られています。ところが、これは自己矛盾文ではないのです。今日は、言葉を使ってものを考えるときに入り込んでくる暗黙の仮定について考えます。 これは一見…

「幸福とは何か」、幸福のパラドックス、答えられない問い

幸福とは何なのかを理解できれば、私たちの人生の大きな助けになることでしょう。しかし、はたして、この問いは答えられる問いなのでしょうか。今日は、「幸福とは何か」という問いが本質的に回答不能であるかもしれないということについて考えます。 京都の…

スライムが4,5匹現れた、曖昧な日本のruby、ピントを合わせる

日本語は曖昧な言語であるとよく言われます。しかし、曖昧さとは、単なる情報の欠落なのでしょうか。「二、三日」と「三日」で、前者だけがもつ意味というものはないのでしょうか。今日は、日本語の曖昧さを武器として使う可能性について考えます。 蕪村の有…

蛇足は蛇足ではない、ヘビのふともも、空を駆ける七色のヘビ

ヘビに足を描くのは、本当に余計なことなのでしょうか。ヘビなんてものを絵を課題にしたのはなぜでしょうか。そもそも、ヘビに足があってはいけないのでしょうか。今日は、「蛇足」という故事成語のあれこれを考えます。 楚に祠(まつ)る者あり。其の舎人(し…

死者600万人、劣化ウランはなぜ「問題」か、感覚はあてにならない

今まさに世界大戦に匹敵する死者が発生していることに多くの人が気づかないのはなぜか。カラシニコフ銃より劣化ウラン弾のほうが問題視されるのはなぜか。今日は、人間の計量感覚の錯誤から、「素朴な市民感覚」で社会問題を解決しようとする危険性について…

自分とは何か、頭がない私、「ひかりはたもち その電燈は失はれ」

「自分が自分である」ということを証明してくれと言われたら、どうすればいいのでしょうか。なぜ私たちは、自分の額に「肉」という文字がないと確信して生きているのでしょうか。今日は、自分が自分であることが何によって支えられているのかについて考えま…

ひよこの残骸、はじめてあふれる獣の涙、いつの日か出会うもの

人間は生きるために、他の生物を殺します。しかし、私は、例えば食事をすることが「残酷だ」と実感することができません。これは私がおかしいのでしょうか? 今日は、石垣りんの詩「くらし」を手がかりに、生と死の問題について考えます。 くらし 石垣りん …

諸君!私はやっぱり猫が好き、ボーイズラブと上様、風に乗る

「諸君、私は〜が好きだ」という言いまわしはネット上にどのぐらい種類があるのでしょうか? それは「やっぱり〜が好き」の場合とどんな違いがあるのでしょう。今日は、「やっぱり」という言葉の使い方を調べることで、世間の風を読む意識について考えます。…

神の居場所のない宇宙、ツンをデレにする理論、「影」にすぎない

宇宙が始まる瞬間、既存の物理法則はすべて破れてしまう。その「特異点」を解消しようとしたホーキングの卓抜した着想とは何か。今日は、特異点の解消における基本的アイデアを見ることで、不条理な世界で生きていくための勇気について考えます。 これはまた…